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2014年5月23日金曜日

受胎・感染~偏在するベルメール


「美は痙攣的なものだろう、それ以外にはないだろう」 アンドレ・ブルトン


ハンス・ベルメールは人形そのものを表した作家だ。
ほんの数体の球体関節人形を作成し、それを最適な場所で写真に撮って発表した。
そのむき出しの人形に驚愕した芸術家はみな、人形を作り始めた。又は人形に成り始めた。
球体関節による接合バリエーションは次々に新たな、はじめての少女人形を出現させる。




人形はさらに自由度・自在性を増し、ドローイングや銅版画の優美でシャープな線で増殖する。
球体関節は万能である。
もはや、名状し得ぬグロテスクな肉塊にまで少女人形は肥大する。
ベルメールの狙い通りに。いや彼はこの世にイデアに通じる口を開いた、と言える。




「人形」というものが何であったか、の定義から完全に放たれ、ベルメール曰く、突発的な他者として現在する”人形”。





ベルメールの人形は受胎または感染していった。
アニメ映画に。
夥しい他者の群れが、舞踏にアニメにドールにフィギュアにマネキンのなかにも現れる。
そしてロボットに。
果ては、人間に。

彼女らは、

確かに瑞々しく痙攣する。

















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